昇華転写(熱転写)印刷機

タイトルには昇華転写印刷機と書いてありますが、実際の所繊維に直接印刷できる昇華転写印刷機を使用しているわけではありません。実際の所、ダイレクトに印刷し、印刷機内で昇華(熱をかけて発色させる)させるものはありますが、細幅に対応したものが殆どないのと、生産効率が非常に悪いので、この印刷機を使用しているメーカーは日本国内ではほぼ無いと思われます。

昇華転写インキをもたせたインクジェットプリンター+ロールプレス機で昇華転写システムとなります。

弊社商品の中ではマフラーキーホルダーがこちらの製法となりますが、実際の所は殆どがネックストラップやシュシュ用に使用されているのが現状です。

 

1.昇華転写用インクジェット機

昇華転写用インキを持たせることができれば殆どのプリンターが使用できるのが実際の所ですが、量産を考えるとはやり大判広幅の印刷機を採用することになると思います。

昇華転写インキで印刷した状態では全く色目判断ができない状態です。インキに熱をかけることでようやく本来の色に発色するという特殊なインキとなります。

   
昇華転写印刷機 昇華転写ロール紙
昇華転写インキ搭載可能な印刷機 昇華転写用ロール紙
   

2.ロールヒータープレス機

印刷済みペーパーをヒータープレスに設置するのと同時に細幅テープも別ロールに設置します。ヒータードラムに同じ速度そして同じ場所に送り込むことで熱+圧が加わりアイロンプリントが高速に可能になります。このスグレモノのプレス機は細幅に限っては国内にメーカーはありません。どのような機械かはこの写真から想像して下さい。実機は掲載NGでしたので、ご容赦を。

   
ロータリーヒータードラム  
昇華転写インキ搭載可能な印刷機  
   

 

3.難点

昇華転写印刷の一番の弱点は色表現です。転写紙に印刷した状態では色目判断ができないため、プレス機まで送り込み、実際の素材に転写してみないことには実際の発色判断ができません。また、もうひとつ難しくしているのが通常のCMYKインキとは少々色目が異なるインキが多く、印刷時RIPで慎重に色調及び濃度設定が必要になります。最も経験が必要になる部分でシステムが完成すれば簡単のようですが、それまでの調整に本当に本当に時間を要します。併せてロールプレスの同じ場所に紙とメディアを送り込むことが非常に難しく、多少の蛇行は許容いただかないと大変なことになってしまいます。担当は転写時機械から全く離れることができないもの困りものです。

あと、熱を加えて印刷を行うので、熱に強い素材でのみこの印刷方法が可能になります。ナイロン製やビニール等は転写印刷する前に素材が溶けたり歪んだりしてしまいます。基本的にポリエステル繊維限定となります。

 

4.利点

繊維質に熱を加えながら染色するので、一度定着してしまえば、洗濯するこも可能です。のちのち剥げてきたり、色が焼けてきたりということも殆どありません。設定さえ間違わなければ非常に鮮やかな発色を得ることも可能です。ただ、繊維質への印刷となるので、細かな描画は苦手となります。

 

 

転写紙も転写インキも簡単に手にはいるので、あとはアイロンさえあれば実際の所、生産自体は可能です。一枚一枚個人的にハンカチやTシャツを作る分には非常に簡単なシステムではあります。

 

 


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